導く月と花に誓う
なんで。
どうして、あたしに黙って。
あんな幻覚を見せてまで…。
あなたは…
自分のすべてを隠そうとするの…。
三人からだいたいの事情を聞いたあたしは、床へ崩れ落ちた。
…狐燈。
あたしは、あなたにまだまだたくさん聞きたいことがあるのに。
「…千秋ちゃん」
崩れ落ちるあたしに、雪華さんが苦々しく、口を開く。
「貴方は、あいつの主人なの」
わかる?と、まるで宥めるように言って。
「契約は、本来なら己の血と契約者の血を混合させて交わすんだけど…」
だけど。
「狐燈は、そうはしなかったでしょ?
それはね、血を混ぜ合わせるより
己の記憶を見せることの方が」
二人を繋ぐ強力な、絆に変わるのよ。
そう言って、雪華さんは優しく微笑んだ。