導く月と花に誓う
その姿をしばらく見つめ。
ハッ、としたあたしはすぐに受け取った鍵を、鍵穴へ差し込んだ。
鍵は、しばらく開けられていなかった扉を、ガチン、と鈍い音を立て、久しぶりにようやくその使命を果たす。
キイィ、と重い扉を開けると、ホコリを被った部屋が見えて。
そこは。
───依然と変わらぬ姿で存在していた。
子どもの頃見たままの状態の部屋は、たくさんの思い出を蘇らせて、涙を込み上げらせるものだった。
「……お久しぶり、です」
誰一人の姿もない部屋に、あたしはゆっくり、頭を下げる。
ここだけが、まるで時間が止まったかのように、静かに鎮座していた。