導く月と花に誓う



「───お久しぶりです、おじいちゃん」




それは、数年ぶりの再会で。



あたしはようやく、鬼野郎の言った言葉の意味を理解した。






───確かに、今でも変わらず、おじいちゃんはそこに存在していた。



机に置かれた羽ペンに手帳、ノートに小物類、それに写真。



たくさんの種類の分厚い本が本棚に収まっていて、それが二三、ある。




そして、壁には多くの写真が飾られていた。




家族と撮った写真や、仲間と撮った写真。




おばあちゃんと二人で撮った写真に、

お母さんの子どもの頃の写真。


さらには、あたしや大半が雅の成長過程の写真。



本当に、たくさんの思い出がそこに詰まっていた。








───ここは、おじいちゃんの記憶そのものだった。













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