導く月と花に誓う
それでも、容赦ない刺激にもうダメかも、と思った時だった。
「―――まったく、仕方のない奴め」
いつの日か、聞いた記憶のある澄んだ声が、隣で聞こえた。
その瞬間、しゅるん、という効果音がつきそうな煙とともに。
その高貴たる姿を、あたしの面前に現した。
……ッ
突然現れたその姿に、あたしは全身に電流が走っているのも忘れてつい、見いってしまい。
「本当に、お前には呆れ返る。
まぁ、そこも兄さんにとっては好ましいところなのかな」
なんて、悪態をつきながらもやっぱり兄を敬愛する姿は。
少し可愛い、とか思ったりする。