導く月と花に誓う
すると、突然、金縛りみたく身体が動かなくなり。
目の前にいる狐燈も同様、動けないようだった。
「お前がそこまで気にする人間だ。
少し借りるぞ」
とか、なんとか言いながら近づいてくる。
…く、くる…っ!
出来る限り角男を睨みつけて威嚇する。
「そこまで警戒しなくていいさ。
少し時間を貰うだけだ」
そう言って、パチン…ッと、指を鳴らすと真っ暗だった空間はなくなり、辺りに光が差し込んできた。
それと、同時に体もフワリ、と軽くなって。
あ…動く…
「…ちょっと!!
いったいどういうつもり!?」
動けると確信した瞬間、相手を睨みつけながら叫んだ。
「まぁ、落ち着け。
俺は鬼藍という。鬼だ」
随分と簡潔な自己紹介をありがとう
…とりあえず、うん。
鬼藍と名乗ったコイツも妖怪なわけね。
「遠回しは面倒だ。
お前は妖怪と一緒にいて、どうなんだ?」
…どうって言われても…
というか、それ以前に妖怪にそんなこと言われたくないんだけど…