導く月と花に誓う
嘘なんじゃないか、とぐ、と指に力を込めてページをめくろうとすれば。
ペラ、と紙の擦れる音が、静かな部屋に響き渡った。
「……なんで、急に…」
さっきまで、あんなに開くことを拒んでいたというのに。
「どうやら、お前の言葉がそいつに響いたようだ」
その言葉に、あたしは振り返って見ると、フ、と微笑んだ。
「さぁ、開け。そいつを。
そして、自分の目で確かめろ」
ずっと止まったままの時間が、カチン、と再びその歯車を回した。
あたしは、手元の手帳を。
おじいちゃんの記憶の片割れを。
ゆっくり、丁寧に開いた。