導く月と花に誓う
──19XX.10.XX
時が過ぎることが、こんなにも
酷だとは思わなかった。
私に、二人の孫が出来た。
いずれ、東条の血を受け継ぐものとして。
万葉集でも、伊勢物語でも
その言葉が出てくるよう
その名の通り、『雅』とつけた。
そして、東条ではない、
私の血を受け継ぐものとして……
狐燈の時期主になることを願って
もう一人を、『千秋』とつけた。
私は、二人を自分の命にかえてでも
守ろうと誓った。
そして、狐燈を。
私の命尽きるまで
共に歩みたいと願った───。
おじいちゃんは、わかっていたのだ。
…もう、そう長くないことを。
そして、あたしの中にその血が眠っていることも
…きっと、全部知っていた。