導く月と花に誓う


ポロポロ、と流れ落ちる涙が止まらない。





「おい、大丈夫か…?」



私の様子がおかしいことに気がついたのか。



そんな言葉が聞こえて、そこへ視線を向けると、來狐さんが少し焦ったような表情であたしを見据えていた。




それを見てしまったあたしは、さらに涙がこみあげてきて。



思いきり來狐さんに抱きついた。




「…お、おい…! 離れろ!」




なんて言われるけど、あたしは離れない。




でも、しばらくすると大人しくなって、そっとしておいてくれた。






ずっと前から、おじいちゃんは知っていたんだ。



あたしが、家族とそういう関係にはなかったということに。



でも、あたしは助けてもらったよ。




おじいちゃんの心を持つ狐燈に。



と、そこで気がついた。




雅の言っていた意味はこれだったのか、と…。





確かに、おじいちゃんのココロ、だ。






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