導く月と花に誓う
「…そんなこと。
あんたには関係ないでしょ」
「関係ない、ね…
そりゃ、言えてるな」
そう言って、ケタケタと笑う。
…なにコイツ…
「ただし。
あいつだけは止めておいた方がいいぞ」
「……は?」
なんだ、知らないのか。
と、どこか楽しそうに言う鬼野郎に、あたしは少しだけ小首を傾げた。
「妖狐は、他の妖怪達よりタチが悪い。
せいぜい気をつけるんだな」
その言葉に、あたしはなぜか返す言葉が見つからなかった。
その時、遠くの方で白い姿が現れたのが見えて、その姿はあたしたちのいるところへあっという間に追いついた。
「…早いもんだな、全く」
「いくら貴方さまでも、
これだけは許せませんね」
その言葉に、鬼野郎はニヤリ、と笑い、さらにはあたしに近づき、見下ろしてくる。
「…どうだ?
あいつなんか止めて俺にしてみるのは」
至近距離で、しかも耳元で囁いてきた。
熱い吐息が耳にかかる。
一方、鬼野郎は退かない。
「……な…っ、誰があんたみたいな
変態鬼を選ぶかってーの!」
あたしの大きく放った言葉に、鬼野郎はあたしから少し距離を置くと、大きくハハハ、と笑い出した。