導く月と花に誓う



「…そんなこと。
あんたには関係ないでしょ」


「関係ない、ね…
そりゃ、言えてるな」



そう言って、ケタケタと笑う。



…なにコイツ…



「ただし。
あいつだけは止めておいた方がいいぞ」


「……は?」



なんだ、知らないのか。


と、どこか楽しそうに言う鬼野郎に、あたしは少しだけ小首を傾げた。




「妖狐は、他の妖怪達よりタチが悪い。
せいぜい気をつけるんだな」




その言葉に、あたしはなぜか返す言葉が見つからなかった。



その時、遠くの方で白い姿が現れたのが見えて、その姿はあたしたちのいるところへあっという間に追いついた。




「…早いもんだな、全く」


「いくら貴方さまでも、
これだけは許せませんね」



その言葉に、鬼野郎はニヤリ、と笑い、さらにはあたしに近づき、見下ろしてくる。




「…どうだ?
あいつなんか止めて俺にしてみるのは」



至近距離で、しかも耳元で囁いてきた。


熱い吐息が耳にかかる。



一方、鬼野郎は退かない。




「……な…っ、誰があんたみたいな
変態鬼を選ぶかってーの!」



あたしの大きく放った言葉に、鬼野郎はあたしから少し距離を置くと、大きくハハハ、と笑い出した。















< 35 / 378 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop