導く月と花に誓う
雅のお屋敷を出たあたしは、先を行く來狐さんのあとを追う。
「ら、來狐さん…!
どこ行くんですか!?」
と、もうヘトヘトの声で叫ぶと、その動きが突然ピタリ、 と止まり。
その不意打ちに、あたしはその背中に突撃してしまった。
「ちょ…、
いきなり止まらないでくださいよ…」
いたた、とぶつけた鼻をさすりながら彼を見上げる。
「俺は…、兄さんに
ひどいことをしてしまった…」
ふと、そんな言葉が、前方からぼやかれた。
「……え?」
「本当に悪かったのは、─────」
その言葉に、すべてが繋がって。
「おい、小娘!」
來狐さんの声なんて聞かずに、 あたしは、ただひたすらに走った。