導く月と花に誓う


ただ、がむしゃらに走った。



道路に積もる雪なんて気にせず走って、走って。



あたしは雪の積もり続けるいつもの神社へ入ったところで、その足を止めた。




ハァ、ハァ、と急速に弾む息を必死に整える。



それが白い息となって空気に混じる。





「おい!
一体どうしたんだ!」





すると、そう叫びながら來狐さんも後から来て。




あたしは再び、それを無視して力一杯叫んだ。







「───狐燈!」




と。




冬の冷たい風がざわざわ、と吹き、鳥たちが一斉に飛び立った。





「……お前…」




あたしの行動に、そんな驚きを含んだ声が聞こえる。





あたしは、くるり、と体を反転し、來狐さんと向き合った。














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