導く月と花に誓う


「───貴方は、自我を忘れていたんじゃない」



すべては、貴方のお父さんの魂が暴走していただけ。




それは、自我なんて効かないほどの威力で。




「だから、お母さんは、貴方に呪いをかけた…。

貴方のために。
身体は貴方でも、その中に眠る父の魂に対して」





再び、父の魂が疼くことのないよう。




もし父の魂が再び暴走したと同時に、その時の記憶が戻る時。





それは、父の魂が消える時。






「でも、貴方は…。

ううん、だからこそ貴方は自らの記憶を消した」



自分の記憶があるから父の魂が存在するのだ、と。





「でも、結局記憶はすべて消えていなかった。

破片はところどころに残ってた」




だから、再び父の魂はその長い眠りを解いた。




「それが、おじいちゃんの亡くなった、理由」




そして、それが…

貴方の父親の魂の最後であった。












< 355 / 378 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop