導く月と花に誓う
「───貴方は、自我を忘れていたんじゃない」
すべては、貴方のお父さんの魂が暴走していただけ。
それは、自我なんて効かないほどの威力で。
「だから、お母さんは、貴方に呪いをかけた…。
貴方のために。
身体は貴方でも、その中に眠る父の魂に対して」
再び、父の魂が疼くことのないよう。
もし父の魂が再び暴走したと同時に、その時の記憶が戻る時。
それは、父の魂が消える時。
「でも、貴方は…。
ううん、だからこそ貴方は自らの記憶を消した」
自分の記憶があるから父の魂が存在するのだ、と。
「でも、結局記憶はすべて消えていなかった。
破片はところどころに残ってた」
だから、再び父の魂はその長い眠りを解いた。
「それが、おじいちゃんの亡くなった、理由」
そして、それが…
貴方の父親の魂の最後であった。