導く月と花に誓う
さわさわ、と冷たい風が流れる。
積もった雪が、太陽の光によってキラキラ、と輝いていた。
「…ずっと、お会いしたかった…。
貴方に会えない日々がどれだけ苦痛だったことか」
それは、あたしだって同じだよ。
なんて、口に出しては言わないけれど。
「結局、私は貴方を護ることができませんでした」
その言葉に、ぎゅ、とあたしを抱きしめる腕に力が込められる。
「父の魂はなくなっているとはいえ…
再び狂うかもしれない恐怖に堪えきれなかったのです」
本当に申し訳ございませんでした。
なんてあたしに囁いた、とても久しぶりに出会った彼は彼そのもので、あたしは安心した。
それから、あたしはくるり、とその体勢を反転させる。