導く月と花に誓う



さわさわ、と冷たい風が流れる。



積もった雪が、太陽の光によってキラキラ、と輝いていた。





「…ずっと、お会いしたかった…。
貴方に会えない日々がどれだけ苦痛だったことか」






それは、あたしだって同じだよ。



なんて、口に出しては言わないけれど。




「結局、私は貴方を護ることができませんでした」




その言葉に、ぎゅ、とあたしを抱きしめる腕に力が込められる。





「父の魂はなくなっているとはいえ…

再び狂うかもしれない恐怖に堪えきれなかったのです」




本当に申し訳ございませんでした。




なんてあたしに囁いた、とても久しぶりに出会った彼は彼そのもので、あたしは安心した。





それから、あたしはくるり、とその体勢を反転させる。






< 357 / 378 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop