導く月と花に誓う
「この1ヶ月近く、死ぬんじゃないかと思った」
なんて言うと、上から突然小さな笑い声が聞こえる。
「なんで笑うの!?」
「…いえ、それは私も同意見です」
そう言って、あたしの額に小さくキスを落とした。
それから、それはどんどん下降していって。
最終的に頬を赤らめるあたしの唇は、彼のものによって塞がれた。
「───父は、巷でも知れた野狐でした」
それから、彼は紡ぎあげる。
「そして、天狐である我が母と出会い、恋に落ちた」
それから間もなくして私と來狐は生まれました。
しかし、父はそんな私達が憎かったのでしょう。
母を独占できなくなってしまったのだから…。
それからです。
─────父が、よく暴走するようになったのは。