導く月と花に誓う




町に出ては、毎日のように人間に危害を加えました。



私達妖狐は、人々に意味嫌われ恐れられるようになりました。





そして、母は決心したのです。




───私の中に、父の魂を封印しようと。


野狐の血も含まれている私は、封印するのに最適な器だったそうです。



しかし、まだ幼かった私には、その絶大なる力を止めるのは無理でした。




結果、私は自身のわからない間に狂い、いろいろな人を傷つけました。





「それから、あとは貴方のおっしゃった通りです」




私は母を、わけのわからないまま殺めてしまいました。




その時、母はおっしゃったのです。




『──再び、そなたの中にある魂の眠りが解けた時。

その魂は、そなたの中から消えるだろう』




と。




そう言って、彼女は泣き崩れる私にそっ、と手を添えました。




それが、私の聞いた母の最後の言葉でした。









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