導く月と花に誓う



私は、母の言葉を胸に。





───自ら、記憶を抹消しました。





二度と、内にある妖怪が目を覚まさぬよう。




しかし、その後、私は春樹さまと出会ってしまったのです。




彼は、母と同じ匂いがしました。




その優しさを感じるたびに思い出してしまうのです。




───昔の記憶を。




それは、私がまだ未熟であるがゆえでした。




少しずつ、確実に私の記憶にはヒビが入り、大きな亀裂が入りはじめ。



ついには決壊し、今までの記憶を呼び起こしてしまいました。




そして、再び魂は眠りから覚め、私は、最愛なる人を二人も失ってしまったのです。












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