導く月と花に誓う
「と、ととと突然なに!?」
「私の本心です」
まるで、ゆでダコのように真っ赤に染まるあたしに、狐燈は柔らかく笑う。
「笑うな!」
「とても可愛らしいですよ」
こいつは…
「だからこそ、今度は貴方を護りたい。
母を、春樹さまを護れなかった私に
もう一度だけ、機会をいただけますか?」
その言葉が、この先の言葉に深く関わるなんて知らずに、あたしはただ、頷いた。
「…ありがとうございます。
私は、再び自らの記憶を消します。
…今度は、何一つ残ることなく…」
その紡がれた言葉に、あたしは息が出来なくなって。
「それじゃあ…」
「はい。
今までのすべての思い出が、
私の中から消え去ります」
しかし、と彼は続ける。