導く月と花に誓う
導く月と花に誓う
───────
────
──
「千秋ー! こっちだよー!」
そう、いつものあたしを呼ぶ声の方に視線を向ければ。
飛鳥が元気良く両手を振っているのが見えた。
……やりすぎ。
人めっちゃ見てるし…。
それも飛鳥のいいとこか、なんて思ったあたしも相当だけど。
「飛鳥いつ来たの?」
「あたしはついこの間!」
と、なんとも久しぶりとは思えない会話に、少しだけ安心する。
無事に、高校を卒業したあたし達は大学へ進学した。
飛鳥は、国立。
あたしは、公立。
大学のお金は雅の家から借りて。
今はバイトをしつつ、少しずつ返していたりする。
結局、養子の件は保留にした。
最初は断ったのだが、雅のお父さんが聞かず。
そのまま、保留という形になってしまった。
と、いうわけだ。