導く月と花に誓う
そして、狐燈は跪き、あたしに微笑んできた。
「千秋さま、貴方の居場所もここだと、私は思っています…」
「……バカ?」
「はい」
――そこ、否定するべきっ!
でも、自然と笑みが零れる。
「私に出来ることならば、
なんなりと、仰ってください」
…それなら…
「―――…あたしを、ひとりにしないで」
……って、何を言っているんだっ
あたしはっ!!
自分で言ってて恥ずかしい…っ
「勿論でございます」
しかも受け入れちゃったし…
「貴方を、独りにはさせません。
この命に代えても、約束は必ずお守りします」
そう言って、あたしの手の甲に軽くキスを落とした。
まずそこでびっくりして、あたしはふいにびくっと体を震わせる。
にもかかわらず、狐燈は何事もないかのように、小指を立てた右手を差し出してきた。
なんかいろいろ言いたいけど…
うん…、まぁ…いいか。
「…出来れば、…ほどほどに」
「承知いたしました」
その言葉を聞き、あたしも同じように小指を立てて差し出す。
あたし達は、初めての――約束を交わした。