導く月と花に誓う
絶対零度の奇跡
それから数日が経ち…
あたしのもとにようやく夏休みが舞い降りた。
…なんだけど…
現在あたしは、正座中。
そしてなんだ、この緊迫感…。
あたしの前では、二人の妖怪がただならぬ雰囲気を醸し出して、お互いを見合っている。
当の妖狐こと、狐燈は始終笑顔。
「何の御用でしょうか?」
「俺は別にお前に用はねぇよ」
…そして、沈黙。
あー、もう…どうしよう…。
と、そんなことを思っていたその時。
突然、客間の窓が吹っ飛んだ。
「―――……っ!!」
もちろんあたしは、もう驚くしかない。
驚かずにはいられない。
狐燈は瞬時にあたしを庇い、とりあえず衝撃がおさまるのを待つ。
もくもく、と煙が立ち上る中、次第にその影が鮮明になってくる。
そこに立っていたのは…
――白い浴衣に身を纏った、綺麗な女の人だった。