導く月と花に誓う
予鈴とともに、みんなは
授業準備へと入る。
「千秋、千秋」
そんな中、ツンツン、と後ろのヤツが
あたしの背中をつっついてきて。
「…なに?」
「今年の夏ははしゃぎまくろうね!」
まるで語尾に星がつきそうなテンションで、飛鳥が笑顔で言い放つ。
まぁ、予想はしているし
あたしもそのつもりだ。
断る理由はない。
「望むとこ、ろ……」
と、あたしもそれに答えようとした時…
――き、…千秋さま、…
どこかで聞いたことのある声がふ、と頭をかすめた。
…この声、どこかで…
あ、…そうだ。
──…夢だ。
でも、なんであたしの名前…?
ハッ、と我に返った時には、すでに飛鳥が訝しげにあたしを見ていて。
「…もしかして具合悪い…?」
「う、ううん。大丈夫大丈夫」
あはは、と苦笑いでそう言うと、予鈴が鳴り響き、授業が始まった。
一体、あの声は…なんなんだろう…