導く月と花に誓う
「――じゃあ、千秋ちゃん。またね」
鬼野郎を引きずりながら、雪華さん達は嵐の如く帰っていった。
「…くしゅんっ」
あー、さっむい…
夏なのに、冬の気分だ…
「大丈夫ですか?
雪華さまの雪は強力ですから…」
「うん、今日でよくわかったよ……
…くしゅんっ」
でも見るかぎり悪い人じゃない。
狐燈や鬼野郎もよく知っているみたいだし…
あたしは毛布にくるまりながら部屋へ戻る通路を歩く。
「…千秋さま」
なんて、ふいに呼び止められて、あたしは疑問に思いながら振り返った。
「え?」
「……いえ、なんでもありません」
そう言って、ニコリと微笑む。
「?……そう」
少しの違和感はあったものの、あたしもつられて笑い返した。