導く月と花に誓う




「――じゃあ、千秋ちゃん。またね」



鬼野郎を引きずりながら、雪華さん達は嵐の如く帰っていった。





「…くしゅんっ」




あー、さっむい…

夏なのに、冬の気分だ…




「大丈夫ですか?
雪華さまの雪は強力ですから…」


「うん、今日でよくわかったよ……


…くしゅんっ」




でも見るかぎり悪い人じゃない。


狐燈や鬼野郎もよく知っているみたいだし…



あたしは毛布にくるまりながら部屋へ戻る通路を歩く。




「…千秋さま」



なんて、ふいに呼び止められて、あたしは疑問に思いながら振り返った。




「え?」


「……いえ、なんでもありません」



そう言って、ニコリと微笑む。



「?……そう」



少しの違和感はあったものの、あたしもつられて笑い返した。











< 44 / 378 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop