導く月と花に誓う
「はい」
そう返事した狐燈の表情に
あたしの鼓動は一瞬、ドキッと高鳴る。
「千秋さま、夕食は何がよろしいですか?」
「…え?ゆ、夕食…?」
確かに、気づけばすでに
部屋の中がオレンジ色に
染まり始めていた。
もう、そんな時間だったんだ…。
「…えっと…な、なんでもいい…です」
「承知いたしました」
そう交わすと、狐燈はそそくさ
部屋へ戻っていた。
そんな中、あたしはそこから
動くことができなかった。
…ど、ど動悸が…
なんか悪いもの、食べたっけ…?
いや、違うか…。
もしかして、あたし…
…いや、でも…
まだ、思い出せないのに…。