導く月と花に誓う
過去から現在(いま)へ
その後、近くのファミレスへ移動したあたし達は、お互い無言でただただ向き合う。
しかし、その沈黙を破ったのは驚くことに、父だった。
「……千秋、長い間…すまなかった」
ぐっ、と口を噤み、あたしに向かって頭を下げてくる。
「…もう一度、やり直さないか…?」
もちろん、あたしは何も言わず、目の前のグラスに視線を留める。
……どうしよう…
…すっっごい、帰りたい…
そもそも、今になってひょっこり現れるなんてどうかしてる。
「勝手なことはわかっている。
でも、本気なんだ。千秋…」
ああ、頭が痛い。
…狐燈、心配してるだろうなー…
せっかく、今日油揚げ特価だったから…
買って帰ろうと思ってたのに…
ハァ、と窓の外を見れば、もう暗くなり始めていて。
オレンジ色と濃青のグラデーションは確実に、濃青の方が領域が大きくなっていた。