導く月と花に誓う
「やっぱり、あたしには無理です」
ごめんなさい。と一礼して席を離れようとした瞬間。
突然、伸びてきた手によって、それを制された。
「謝って済むことじゃないのは百も承知だ。
それでも…」
…この人ってこういう人だったっけ…?
でも、戻るつもりなんてさらさらない。
「悪いですが、待たせている人がいるので」
癪だけど、掴まれた腕を振り払い二百円をテーブルの上に置いてファミレスを出た。
…あの人に、家を知られたら大変だ。
と、始終店が見えなくなるまで走ったんだけど…。
「―――千秋!!」
…追いかけてきていた!
当然、男と女の力は歴然。
あたしは、あっさり追いつかれ、今度はガシッと両肩を掴まれてしまった。