導く月と花に誓う
図星なのか、父親の腕に入る力が緩み、その隙にあたしはすぐさま後ろへ引いた。
そして、父親の方を向くと。
「…は、ハハハ…」
目の前の人は手で顔を覆いながら、乾いた笑いを洩らした。
あたしにはそれが恐ろしく思えて、思わず身震いする。
「…当然だ。
誰がこんな失敗作と戻りたいなんて思う?
利用する他になにがあるというんだ。
…まあ、失敗だったがな…」
…わかってる。
あたしは、所詮失敗作だ。
それでも…っ
気がつけば、あたしは思いきり父親に掴みかかっていた。
「……!」
「あんたみたいなミジンコ以下の人間に、
失敗作呼ばわりされたくないわ!
もう、二度と、あたしの前に現れないで!」
「お、まえ…実の父親に対して…」
その言葉を聞きながら、あたしはバッ、と手を離し。
「…誰が父親だっ!
あたしは、今まであんたを父親だなんて
これっぽっちも思ったことないわ!」
ふん、と睨みつけながら言って、あたしは踵を返し、全速力で駆け出した。