導く月と花に誓う
…いつだって、あの二人を両親だなんて思ったことはない…。
それでも、少しは信じていたんだ……。
いつか、両親だと、思える時が来ることを。
あたしは、神社の石段の上でうずくまっていた。
「…千秋さま」
すると、上から穏やかな声が降ってくる。
ハッ、と見上げると同時に、狐燈が跪いてくる。
「…ごめん。なんか…
あたしのせいで…」
「いいえ…」
そう返事をして、微笑む。
「…やっとさ、本当のことが言えた気がする…。
…ありがとう」
「…私は、何もしておりません…」
あたしの言葉に目を伏せて言った狐燈に、精一杯の笑顔を向けて。
「そんなことない。
…すごく嬉しかった」
そう言って立ち上がり、んー、と目一杯伸びた。