導く月と花に誓う
「…離れたいと仰っても離れませんよ?」
……ん?
「…う、うん」
「…本当によろしいのですね?」
「―――うん」
その返事に、「そうですか…」と呟いた狐燈は、あたしの持っていたグラスを床へ移動させると。
スッ、とあたしの頭の後ろに手を回してきた。
「では、仮契約、といたしましょう」
その言葉と行動に、え?と思った瞬間、あたしの唇は狐燈によって塞がれた。
「――――っ!」
…いやいやいや!ちょっとま…っ !
これだけでも、あたしの頭と心臓は爆発寸前だというのに…
追い討ちをかけるかの如く唇を割って、狐燈のソレが入ってきた。
…ひいっ!
「……んん…ぁっ!」
ぐいぐい、と退こうとしても頭に手を回されているため…
離れられない。
完全に主導権を狐燈に握られていたのだった。
―――それから…
やっとのことで狐燈が離れてくれたのは、その数秒後だった…。