導く月と花に誓う
とりあえず、狐燈のおかげで飛鳥の家へはあっという間だった。
飛鳥の家は、簡単に言えば豪邸に近い。
お嬢様と言った方が合うかも。
あたしは狐燈にお礼を言って、玄関のチャイムを押した。
インターホン越しで会話をしてから数分後。
ガチャン、とそのドアが開いた。
「わざわざごめんね、千秋ちゃん。
飛鳥…もうずっと部屋に籠りっきりなのよ…」
髪はブラウンにウェーブがかかり黒いワンピースに身を纏った飛鳥ママが出てきた。
そして、あたしを促し家の中へ入れてくれる。
急いであたしは階段を駆け上がり、飛鳥の部屋へ向かう。
しかし、ふと思った。
―――なんか、変だ……。