導く月と花に誓う



家具の位置が違う、とかそんなことじゃない。




この廊下に漂う空気が、取り巻く雰囲気がなんか違う。



それは、吸えば吸うほど頭がくらくらする感じ…。




…その時。





「――千秋さま!」


「……え?…ぅわっ!」




ふいに、あたしを呼ぶ声とともに、鼻から口までを手で覆われ、後ろへ引き寄せられた。




「吸ってはいけません。
これは妖気です…。
それも、かなり強力な…」



「……どういうこと…?

…まさか、それって…」



「はい…、考えたくはありませんが…
…おそらくは…」




その言葉に、あたしは自分の手で口を覆い、飛鳥の部屋を思い切り叩いた。



「……飛鳥…っ!」



しかし、反応はない。


加えるように、ガチャガチャ、とドアノブを上下に揺らすが、鍵がかかっているらしく、開かなかった。












< 79 / 378 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop