導く月と花に誓う
今はそんなことは一旦置いといて、
あたしは急いで飛鳥に駆け寄る。
「飛鳥!…あーすーかーっ!」
ゆっさゆっさ、と身体を揺らす。
すると。
「……う……ん……」
小さな声だが、微かに反応する声が聞こえた。
…あ、良かった。生きてはいる。
ホッ、と安堵した時。
「…お前…妖怪が見えるのか…」
と、どこからか…
男の人の声が耳へ入ってきた。
しかし、あたしの視界に入ってきたのは
…さっきの、犬…。
キョロ、と部屋の中を見渡しても、今、それに当たるのが、この犬しかいない。
えーと…………。
もはや、何も言えない。
じっ…と見たまま黙っていると。
「そ、そんな目で俺を見るな!」
…確かに、言葉なんだけど…
あたしには、キャンキャン
言っているようにしか聞こえない…。
…なんだこの犬……。