導く月と花に誓う
「くそーっ!狐燈!
お前までシカトとはいい度胸じゃねぇか!」
ムキー、と敵意むき出しの少年が怒号を上げる。
「…ああ…、砂狗(さく)さまで
いらっしゃいましたか」
「…知り合い?」
「いいえ、まったく」
悪びれる様子もなく、狐燈はにっこりと、あっさり答える。
…ええぇぇ…
それがまた砂狗、と呼ばれた少年の癪に障ったのか、どんどん不機嫌そうな表情になっていく。
「くっそー、ここで会ったが百年目!
今こそお前を倒してやる!」
……いつの時代の悪役のセリフだよ
しかもまたなんか、嫌な予感…
「貴方がそんな、戯れ言を叩きますか」
ああ……、どうしよう…
狐燈は笑顔、相手はう゛ーっと威嚇というか、なんというか。
「ええい!二人とも!
とりあえずストップ!」
「と、止めんじゃねぇ!人間のくせに!」
「うるさい!人間言うなっ!」
と、まぁ…
やっと大人しくなった少年も無理やり連れて、あたし達は家へ向かった。