導く月と花に誓う
――――で。
家に無事着いたものの、やっぱり少年はものすっごい不機嫌。
あたしは自分の部屋でひとり、はぁ、とため息をついたその時。
「……う…ん……」
飛鳥の意識が戻りだした。
「…飛鳥!」
「……ちあ、き…?」
まだぼんやりとした言葉と双眸だが、意識はしっかりあたしに向けられていた。
おお…っ!
「飛鳥!…良かったー…」
「…ちあき……あたし…」
「…部屋で、倒れてたんだよ」
「……そっか…」
そう呟くと、飛鳥の双眸は静かに閉じられ、再び意識を手放した。
今度は眠ったらしい。
…こっちはひとまず大丈夫、か…
あたしはホッ、としながらそーっと静かに部屋を出る。
…一番問題なのは、こっちだ。
あれから少年は一言も発しない。
めんどくさいったらないよ。