導く月と花に誓う



――――で。





家に無事着いたものの、やっぱり少年はものすっごい不機嫌。





あたしは自分の部屋でひとり、はぁ、とため息をついたその時。






「……う…ん……」




飛鳥の意識が戻りだした。





「…飛鳥!」


「……ちあ、き…?」




まだぼんやりとした言葉と双眸だが、意識はしっかりあたしに向けられていた。





おお…っ!




「飛鳥!…良かったー…」


「…ちあき……あたし…」


「…部屋で、倒れてたんだよ」


「……そっか…」




そう呟くと、飛鳥の双眸は静かに閉じられ、再び意識を手放した。



今度は眠ったらしい。






…こっちはひとまず大丈夫、か…


あたしはホッ、としながらそーっと静かに部屋を出る。





…一番問題なのは、こっちだ。





あれから少年は一言も発しない。




めんどくさいったらないよ。













< 84 / 378 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop