導く月と花に誓う



しかもあたしの腕から、するりと離れ地面へ足をつく。





「……悪かった?」


「悪いもなにも、俺は妖怪だ。
死ぬわけがないだろ」


「………あ」





…うわ…っ

確かにそうだ。

なに、やってんだろ…あたし…。




無駄足じゃん、と組んだ腕に顔をうめて、蹲る。






「………でも、」




………?




「…サンキュ」





相変わらず、プイ、とそっぽを向いての言葉。






「…どういたしまして」




まぁ、いいか。今回は。





「…よし、かーえろっ、と」





帰って寝るぞーっ





んー、と伸びながら立ち上がると。小さな女の子があたしのすぐそばに立っていて、あたしを見上げていた。






「……お姉ちゃん…」


「…?…、どうかしたの?」




あたしは、女の子の高さに合わせるようにしゃがみ、問い掛ける。





「…そのワンちゃん…。
お姉ちゃんの…?」


「…え…?…ううん。
あたしのじゃ、ないよ」




会話の意図が全く見えず疑問に思いながら否定する。











< 93 / 378 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop