導く月と花に誓う
しかもあたしの腕から、するりと離れ地面へ足をつく。
「……悪かった?」
「悪いもなにも、俺は妖怪だ。
死ぬわけがないだろ」
「………あ」
…うわ…っ
確かにそうだ。
なに、やってんだろ…あたし…。
無駄足じゃん、と組んだ腕に顔をうめて、蹲る。
「………でも、」
………?
「…サンキュ」
相変わらず、プイ、とそっぽを向いての言葉。
「…どういたしまして」
まぁ、いいか。今回は。
「…よし、かーえろっ、と」
帰って寝るぞーっ
んー、と伸びながら立ち上がると。小さな女の子があたしのすぐそばに立っていて、あたしを見上げていた。
「……お姉ちゃん…」
「…?…、どうかしたの?」
あたしは、女の子の高さに合わせるようにしゃがみ、問い掛ける。
「…そのワンちゃん…。
お姉ちゃんの…?」
「…え…?…ううん。
あたしのじゃ、ないよ」
会話の意図が全く見えず疑問に思いながら否定する。