導く月と花に誓う
そして、ガラリ、と戸を開けると軽々部屋へ入ってくる少年。
「よっ!邪魔するぜ!」
ニッ、と笑い、ポケットに手を入れながらあたしの前に立つ。
「あー、砂狗、久しぶり」
「砂狗さま、いらっしゃいませ」
そう言いながら、狐燈は水の入ったグラスを渡し、砂狗はそれを受け取るとその場にドカリ、と腰かけた。
「あれからどう?」
「…ああ、それがよ!
人間もいいもんだな」
そう言った砂狗の表情はどこか、あどけない。
それなら、良かっ…
「美結ちゃんって言うんだぜ!
もう可愛いんだ、コレが!」
…………。
「――…ちょ、ロリコンまっしぐら
なんだけど…っ!」
「ですが、とても幸せそうですよ」
ばれないように小声で話しながら、水を飲む砂狗をチラリ、と見る。