螺旋迷宮
Chapter 1
終わり始まり
雑音。
ノイズ。
訊きたくない。
耳障りな音。
けれど耳を塞いだところで聞こえなくなることがない事は分かっている。
だからそんな無駄な事はしないし、しようとする気もない。
あたしはここにいるのに、どこか遠くに意識を持っていきながら、用を済ませるために手を動かす。
「駅のところのクレープ屋に寄って行かない?」
「いいねいいね! お腹すいたーあっ」
「イチゴがいいなー♪ バナナよりイチゴ派なのですよー」
遠くで聞こえる、他愛もない会話。