螺旋迷宮
けれどどう思ったのか、女はぶつかった相手――――あたしを見るなり顔を真っ青にして早口に言った。
「ごごごめんなさいっ!!」
慌てたように頭を下げる。
その声に眼球だけを動かす。
敬語じゃなくていいのに、とか、そんなに怯えることないのに、なんて事はもう既に思わなくなった。
どちらが悪いとかはない。
どっちもどっち。
だけれど彼女たちの中ではそうではないらしい。
あぁ…面倒だ。
そんな思いばかりが脳裏を駆け巡り、体が重力に負けるように沈みそうになる。
そのうち地面を貫通させて、足が埋まるかもしれない。
浮かぶことすら億劫になったあたしは、一体何がしたいんだろう。