螺旋迷宮
空気的存在になれればどれだけ嬉しいことだろうか。
残念な事ながら、あたしは空気になれないらしい。
むしろ物体以上のもの扱いで、クラスの女子はあたしに気ばかり使う。
ほっておいてくれればいいのに。
「ふぅ…」
空を見上げ、大きく大きく深呼吸。
…平気。
気持ちが整うと、家へ帰宅するために足を進めた。
世界はなぜこんなにも色薄いんだろうか、と不意にどうでもいいことを考えてみた。
濃い、という人が多数かもしれないけれど、どうもあたしには色素が薄いようにしか見えない。
悩んところで答えなんて出ないのに、それでも考えてしまった。