螺旋迷宮
しばし輝くナイフを見つめる。
そうしてからいくらか経つと、ナイフを両手で持ち替え切っ先を自分の額に向けてみる。
そして大きく息を吸って、目を瞑ってみた。
ナイフを持つ手にギュッと力を入れて、勢いをつけるために少し離す。
そして戸惑う事無く、ナイフを額目掛けて突き刺そうとした。
――――…が、
「………、」
――――…できなかった。
あれ、っと疑問を持ち、ゆっくりと目を開いてはその理由を確認する。
いつの間にかあたしの前にいた男が、ナイフの切っ先を手の平で包んでいた。