螺旋迷宮




そうと決まればあたしは早足で行き止まりへと向かう。



進んだところでそうにかなるとは思っていない。


目の前は行き止まりだ。



どうしようもない。



けれど進んで裏路地に入ったほうがあの場所に立ち続けているよりは視線を集めないし、安全だと思ったあたしの精一杯考えた行動だ。




数歩進んだとき、再び目の前に黒猫が現れた。



ぴょんと上から地面に降り立った黒猫は、1つの裏扉の前で止まった。


そしてそこで裏扉を見つめたままお座りをする。



「…?」



あたしは無意識に近い状態で黒猫に近寄った。



相手は言葉を紡いで会話をすることができない動物。


だけれどそこにいてくれるだけで何故か安心することができた。




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