螺旋迷宮




「あ…あの…」



意味が分からないあたしはしどろもどろになりながら声を出すが、



「餌」



なかなか受け取りに来る気配がないと思ったのか、あたしの前まで数歩足を進めてきてはグイグイと、無理やり押し付けられるようにマフィンをあたしの視線いっぱいに詰め込む。



どんどん迫ってくるもんだから、あたしは受け取るしかなくなってしまった。



え…餌って…。



あたしの手のひらにチョコチップマフィン。



それを見た男の人はすぐさまあたしから視線を逸らし、足元の子猫に視線を移動させた。



石段に座っては生気のないような声でボソリと言った。



「餌」



あたしに言ったようにそう言いながら黒猫に餌をあげるその姿を見つめ、あたしは再度マフィンに視線を戻す。



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