螺旋迷宮
餌…。
男の人が言う〝餌〟は本当にただの〝餌〟のようだ。
手のひらの中にある何個かの餌を一粒づつ黒猫にあげていく。
それを美味しそうに平らげていく黒猫を呆然と見つめていると、男の人はチラリと横目であたしを見つめ、
「パンツが丸見え。 どうにかしろ」
特に興味もないような声でそう言う。
そこでやっと自分が尻餅をついたまま固まっていることに気づいたあたしは、慌てて立ち上がってはスカートをはらった。
み…見られた。
無機質な表情で、淡々と餌をやる男。
あたしはマフィン片手に見つめてしまう。