螺旋迷宮
思った瞬間頭の中で警報が小さく鳴る。
今更ながらあたしはこんなところで何をしているんだろう、なんてマフィンを見つめ考えて青くなる。
今すぐにでも逃げ出すべきなのか。
このまま捕まるかもしれないと考えると、この裏路地から抜け出した方が安全かもしれない。
ここがどこだか分からないけれど、走ればこの煌びやかな場所からは抜け出すことは可能だろう。
けれどあたしには勇気がなかった。
この裏路地から抜け出してあの煌びやかな道を走ることが。
関わってはいけない人がわんさか溢れているであろうあの道を、たいして早くない走りで走ったところで誰にも声をかけられないという保証はない。
話しかけられたら終わりだ。
殺されるかもしれない。
襲われるかもしれない。
怪しい店に引き込まれるかもしれない。