螺旋迷宮
血がつかないように気を使ってくれているのか、手のひらではなく甲が当てられている感覚がある。
そんな感覚を感じながら、あたしは息を漏らす。
「………ふ…っ」
酸欠状態に陥っているあたしなどお構いなしに、男は終わりの見えない深いキスを続ける。
やばい。
死にそう。
目の前が微かに霞んで本気でそう思ったとき、男は抵抗しなくなったあたしの耳元でこう囁いた。
「…お前は俺が殺すっつてんだろうが」
少し擦れ気味の低い声があたしの鼓膜を揺らす。
そう言って上げた男の顔が月光を受ける。
あたしは視線を上げて男を見た。