螺旋迷宮
それは真顔と呼べるものなのだろうか。
あたしと同様に無機質な表情だけれど、どこか笑みを含んでいる気がするのはあたしだけなのだろうか。
目を瞑り、小さく呟く。
「……知ってる」
そして目を開けては男と目線を合わすように、ゆっくりと顔を上げていく。
男を見つめ、無機質な表情と声で淡々と告げた。
「…知ってるよ」
求めるように視線を合わせる。
そうすれば男は微かに口角を上げ、
「…ふん」
鼻で笑っては、あたしをフローリングに押し倒した。