螺旋迷宮
あたし達の間に〝愛〟と呼べるものは存在しないだろう。
間違っても恋人なんて呼べる関係ではない。
ただこうして触れ合って、身体を合わせて終わり。
言葉にできないほどの、人には話せないくだらない関係。
あたし達の間には何もない。
何の感情も生まれない。
興味を持たない。
はずなのに。
お互いの生活に干渉しないのに。
それなのに男は小さな声でこう言った。
「…お前は勝手に死ぬな」
あたしはその言葉を聞き逃さなかった。