恋病-レンビョウ-
level.1

失恋日和








「付き合って下さい、付き合って下さい、付き合って下さい…」



何も私は、怪しい奴じゃない。


私は今から好きな人に告白をする。だからその練習をしているだけのことであって。

例え私が下を向きながら長い黒髪を垂らしてぶつぶつと呟いている女だとしても、全然怪しくないの。

…一応、恋する乙女だしさ。

なんて。自分で言っててちょっと吹きそうになった。

ふふ、わたし、超きもい。

言われなくても重々承知。






あらかじめ彼を呼び出しておいた屋上の扉の前に着くと、
3回程深呼吸をしてから、ゆっくりと重い扉を押した。

それと同時に、強い風が私の身体を無理矢理押し戻し、少しよろけそうになる。





…ああ、空が綺麗。



見上げた空には雲一つなくて、ちょっと泣きそうになった。ま、それは大袈裟か。



残念ながら、私は空に感動する程感受性が豊かじゃないの。







…いやいや。そんなこと今はどうでもいい。それより彼は?





扉をそっと閉めて奥へ進むと、人影が一つ、ちらっと見えた。








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