年下の彼氏
この日は、全くと言っていいほど授業にならなかった。 


とりあえず、数学のテキストに手を付けたものの、翼くんが解いたのは、最初の一問だけ。


あとは、真っ白な状態だ。


あとでお母さんにテキストをチェックでもされたら、大変なことだ!



「お疲れさまでした〜」と、笑顔でお茶を運んで下さるお母さんの顔を、まともに見ることができなかった。


申し訳なくて……。



これでは、〈月謝泥棒〉になりかねない。




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