ボーイズ
卒業式が進むにつれ泣き出す人が増えてきた。
優介は泣かなかった。
3年間過ごした日々。
友達や先生の事。
もっとまじめに受けていれば良かったと後悔した授業。
そんなことを考えると少しだけ目頭が熱くなった。
卒業式も終わりに近づき生徒代表の言葉を女子生徒が読んでいた。
(あの子に告白されたっけ。ふっちゃったな。おれにはなおとがいたし・・・・)
おれがなおとで苦しんだように
あの子もおれで苦しんだんだろう。
そう思うと嘘でも付き合ってあげればよかったなぁと思った。
なおとは泣いただろうか。
優介の席からは後ろ姿しか見えない。
卒業式が終わり生徒退場が始まった。
泣いてる人、泣くのを我慢している人。
優介は泣かなかった。
もうすぐなおとのクラスが退場する番だ。
優介はぼーっとなおとを見ていた。
ぱっと。
なおとがこっちを振り返った。
なおとは大きな目に涙を溜めていた。
おれ達はたった数秒間目が合っただけなのに
いろんな事を伝え合った気がした。
「うぅ・・・・ひっく・・・・」
おれは椅子に座りながら泣いた。
涙が止まらなかった。
たぶんクラスで一番泣いただろう。
まわりの目を気にすることなくただうつむいて泣いた。