【完】甘い恋よりもそばにいて

「ホント意味わかんない。愛されること求めないなんてバカだよ、バカ。もっと欲張りになりなよ。」



飽きれ口調で言葉を返す。


あたしの愛が最終的に啓を困らせてしまうなら…か。



莉華らしいといえば莉華らしい。



でも裏を返せばただの馬鹿。



でもそこを非難することはできないんだ。あたしにも他の誰にも。




だって莉華が自分で決めた事だから。



それ以上もそれ以下の理由も存在しない。



莉華があの金城って男に"沖田と関わらない“そう約束したのは事実で



よく考えれば、これはもうどうすることも出来ないじゃないか。



そしてこの事実は今も存在し続けている。



「フッ……。」



不意に込み上げた笑い。なんだか馬鹿げてる気がした。



「莉華泣いていいよ。莉華の選択が間違ってるか正しいかなんて今のとこ誰もわかんないじゃん。あたしは莉華が正しい方に賭けるよ。沖田以外に男なんて星の数ほどいるなんて軽々しくは言えないけど。沖田がいなくてもあたしがそばにいるよ、ずっと。だから泣きな…。」



あたしは莉華を抱き寄せてそう囁いた。